2017年11月第2週
現在も相変わらずの常昼勤務が続いています。もうすっかり昼勤務に慣れてしまいました。この次に夜勤をやれと言われても、身体と脳が拒否反応を起こしそうです。夜勤に慣れるまで時間がかかりそう。
11月は9~10月に比べ生産台数が落ちています。とりあえず今月は、人員はそのままで残業を落として対応しています。ただこの先、さらに生産が落ちるようだと人員が削減されるので、私としてもまだまだ油断できません。
さて、今月の頭に「車大手、期間従業員の無期雇用を回避 法改正、骨抜きに」というニュースが流れました。期間工として働く私たちには無関係ではありえません。このニュースについて少し書いてみます。
車大手、期間従業員の無期雇用を回避 法改正、骨抜きに
このニュースの要点は2つあって
2013年に施行された改正労働契約法で、期間従業員ら非正社員が同じ会社で通算5年を超えて働いた場合、本人が希望すれば無期に転換できる「5年ルール」が導入された。申し込みがあれば会社は拒めない。
改正法には、企業側の要望を受け「抜け道」も用意された。契約終了後から再雇用までの「空白期間」が6カ月以上あると、それ以前の契約期間はリセットされ、通算されない。これを自動車各社が利用している。
というものです。(朝日新聞デジタルより引用)
本来だったら来年4月から無期雇用の期間工が生まれるはずだったのが、大手自動車メーカー8社とデンソーを含む自動車部品メーカーが揃って期間工の無期雇用を回避したため、法改正が骨抜きになってしまいました。
具体的には期間工の契約期間を最長2年11ヶ月(その他期間あり)とし、期間満了後6ヶ月のクーリング期間を設け、契約期間を一度リセットしてまた最長2年11ヶ月で雇う、というものです。こうして無期雇用を回避しました。
この点についてメディア、ネット上、政治家、期間工ブロガーなどが賛成、反対、その他独自の意見を述べていました。大変興味深かったです。
デンソーではどうだったか?
デンソーでは2014年6月の入社者よりクーリング期間が適用されました。この時期にクーリング期間を設けたということは、当初より期間工の無期雇用を回避する考えだったのでしょう。
クーリング期間の設定について、一応班長から期間工に説明はあったのですが「今後は期間工の再入社に半年かかる」といった程度で、私たち期間工も当の班長も、改正労働契約法や期間工の無期雇用の回避などは理解していなかったはずです。
私は現在デンソー期間工で通算7年目、3回の赴任をしていますが、2回目は月をまたいですぐ赴任し、3回目は6ヶ月以上空けてから赴任しています。
期間工の無期雇用の回避は是か非か?
私はこの判断は妥当だと考えます。
自動車業界は全産業の中で、最もグローバル競争が激しい業界の一つです。世界の自動車メーカーが覇を競っていて、些細な経営判断の過ちや経営戦略のミスが致命傷になりかねません。
また最近よく聞かれるように、これからは自動車の電動化(EV化)・自動化が進みます。そしてコネクテッド・カー、シェアリングも進化するでしょう。自動車業界はパラダイムシフトの真っただ中にあります。
その中で、現在これほど期間工集めに苦労している自動車、自動車部品メーカーが一致して期間工の無期雇用の回避をしたということは、未来を見据えたうえで生産の調整弁として期間工を活用していく、ということです。
自己責任で働く
私の理想を言えば、現在のデンソー期間工の待遇(日給・満了金等)で基本的に無期で働き、2ヶ月前に申し出ればいつでも辞められる、というものですが、これはちょっと贅沢すぎる話ですね。
契約期間は最大2年11ヶ月、再入社に6ヶ月のクーリング、工場・寮の配属は会社が決定、勤務形態の変更がある、とこれらの条件があって期間工の待遇があります。期間工が無期雇用ならば、ここまで待遇は良くならないでしょう。
ここで期間工に愛想を尽かす、見切りをつけるというのも一つの選択です。幸い今は人手不足が叫ばれています。他に行って正社員でもなんでも、自分が納得できるものを見つければ良いです。
逆に期間工から正社員を目指すというのも一つの選択です。正社員は基本定年までの無期雇用で、給料・ボーナス・退職金・企業年金と安定しています。自分に工場勤務の適性があり長く働くことを希望するなら、正社員を目指して努力すべきです。
これら期間工の条件・待遇に納得して、その上で期間工として働く、というのも当然アリです。ただし、条件・待遇を理解して働いているのですから、期間工が無期雇用の回避について批判するのは筋違いになります。
上に政策あれば下に対策あり
今回私が特に感じたのは上(政府)の政策により、望む望まないにかかわらず下(会社、個人)に影響があり、対策が必要になるということです。
政府の改正労働契約法の施工により、自動車会社は6ヶ月のクーリング期間を設けました。そして個人も再赴任には6ヶ月の空白を埋めなければなりません。対策が必要になります。
現在、政府は残業削減の指針を出していますが、自動車業界は年間の残業上限を540時間としました。個人も多く稼ぎたいなら、残業ではなく何か他の手段が必要になってきます。
これらはあくまで一例にすぎません。政府は今後も世界の動向や社会の情勢によってさまざまな政策を出してきます、そしてそれに個人も対応していかなくてはなりません。期間工といえど戦略的に生きることが求められています。